大喜利大使館
お題
黒船が来たとき日本はこうするべきだった

(提供:ハシリドコロさん)
東堂さんの作品
さもありなん、さもありなんと言うてちょんまげが逃げたのよ。ちょんまげが逃げたらそら追いかけなあきませんわな。逃げたちょんまげ追うて町の外へ出たら辺りはすっかり暗うなっとって、しゃあないからその辺で寝たんですわ。したらそのうちざわざわざわと、草が騒いで風も煩い。こらどうしたと見渡したらば逃げたちょんまげが挨拶に来とる。「明日ノ朝ニ黒イ船ガ来マス」「黒イ船」「「黒イ船」」「「黒イ船ガ来ル」」やいやい言うなちょんまげや、どないしてそんな増えたんやと。いつの間にか奴ら増えとるんですわ。分裂だか繁殖だか、はたまた合流だか知りませんがね。しかし何にせよちょんまげが、しきりに「黒い船が来る」と言う。何のこっちゃ思てとりあえず適当なちょんまげ引っ捕まえて頭に乗せ、ぐうとくっつけてその日は帰ったんです。帰り道もそりゃ五月蝿かったですよ、頭の上でばたばた騒ぎよる。元のちょんまげより声が高いんですわ、どうやら少し細いのを掴んでしもたらしくて。まあそんなことはどうでもいい。ちょんまげはびたびた跳ねながら「黒イ船」「黒イ船」と騒いどって、長屋に帰ってもまだなんや言うとったんで、気合いを入れて熱い湯を沸かして頭からかぶりまして。そしたらこれがよくなかったのか、ちょんまげがみるみる大きくなって頭に乗り切らんようなってね、ぼとんと落ちたままうねりながら何処かへ行きよりました。結局その日はつるつるの頭で寝てしもて、そこから随分経ってからかね。体躯の大きな異国人が街を歩くようになったのは。民衆は気付いておらんのですが、肩にちょんまげがおるんです。肩やら、腰やら、指の間やら。異国の人とちょんまげが、日がな市中を練り歩く。ちょんまげからは音楽が流れますから、民衆は知らんうちに外の国の音に踊らされることになります。今もタンタンとなっとるでしょ。異国の心の臓の音が。あちらのほうでは、死んだ人間の体は魚みたいに切って開かれるそうで。開いた中の心の臓、そこに流れる赤青の血。そいつを模した赤青の木板を、手で叩いてタンタンと鳴らすんですわ。タンタンタン。ドクンドクン。タンタンタン。ドクンドクン。ちょんまげはきっと、強い命がすきだったんでしょうな。黒い船に気づいてそちらについた。強い鼓動を町に持ち込んだ。悔やんでも仕方ないとは言え、逃げ出したちょんまげをどうにか捕まえておいたらと今でも思うとります。そうすれば、わたしらの音楽はもう少し守られたのかもしれないと。
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3点564
2点ハプティクス
4点冬嗣
3点pokopoko
3点チャンス
4点solitude
3点小粒庵
3点たこかいな
3点ドクローネ
4点関本
2点hikage
2点obasuma
2点汁物
2点シャープくん
2点キルヒホッフ
3点たきざき
2点小型
2点watao
2点ぽよん
2点魔理沙
3点いなみ
3点モモス
3点赤い髪
2点山岸
2点こくもつの試食
2点ウッド原動機
2点てろっつ
3点臭い紅茶
2点スシ侍
4点ハシリドコロ
2点警邏
4点DD対称性
4点極道の娘
3点はげめがね
2点モニカレイ
3点退屈な夕食
3点神聖な大木
3点空飛ぶタイヤ
2点寝癖の宇宙
2点うんこザウルス